<< 船舶曳航式バルーンを用いたフロント周辺の海表面水温の低高度観測>>
● フロントを堺に「暖かい海域」と「冷たい海域」に分かれているが、何の影響で同じ海面で温度が異なるのか。
● バルーン空撮のデメリットは何ですか。
● 空撮画像はなぜ斜め上空からの画像になるのですか。真上から撮影することはできないのでしょうか。
● 空撮中のごみなどによる透過率の低下によって発生する誤差などは考慮されるのか。また考慮するとして測定時においてどのような誤差が考えられますか。
● バルーンの飛行高度は精度に関係ありますか。
● 1回目の観測で得られたフロントの画像とサーモカメラで得られた水温データとはどれくらい一致しているのですか。1回目の観測では波長が6m程度の波を観測でき、2回目の観測では波長が20m程度の波が観測されていましたが、これは観測海域の地形による影響ですか。
● 方位角を測定できた場合、GPSブイを使う必要はなくなりますか。
● バルーンの形が球ではない理由。
● なぜ観測を瀬戸内海と玄界灘の2点で行ったのか。
● 3枚の写真を合成する方法はなんですか。
● 海洋前線とは何ですか。また、海洋前線を検出することで何に活用できますか。
● 海上で撮影する際、バルーンはどの程度の風を受けますか。またその際、目的とする中心点からのずれはどの程度許容されますか。
● バルーンの先端などカメラとできるだけ遠い場所にGPSを取り付けて、カメラにあるGPSと新たにつけたGPSで方位が分かるのではないでしょうか。波による高さの影響はないのか。
● フロントにゴミが集積するメカニズムを教えてください。
● 観測の時間、ブイの回収手段を教えてください。
[Q] |
フロントを堺に「暖かい海域」と「冷たい海域」に分かれているが、何の影響で同じ海面で温度が異なるのか。
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[A] |
夏季には太陽からの熱で海表面水温が高く、低部で水温が低い領域が形成されます。また、潮流の早い場所で鉛直的に海水が混合されます。その結果、鉛直方向に混合された領域は海底の冷水と海表面の水が混合して冷たい領域が形成されます。
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[Q] |
バルーン空撮のデメリットは何ですか。
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[A] |
ヘリウムの充填に時間がかかる点だと考えています。
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[Q] |
空撮画像はなぜ斜め上空からの画像になるのですか。真上から撮影することはできないのでしょうか。
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[A] |
フロントの真上から撮影する場合、フロントに船を近づけて空撮する必要があります。その場合、船が走行する際に発生する波がフロントの形状を乱す可能性があります。そのため、観測はフロントから少し離れた場所で船を走らせて、カメラを傾けた状態で撮影することになります。
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[Q] |
空撮中のごみなどによる透過率の低下によって発生する誤差などは考慮されるのか。また考慮するとして測定時においてどのような誤差が考えられますか。
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[A] |
ごみによる透過率は考慮していません。ゴミも海水と同じ温度になると仮定しているためです。
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[Q] |
バルーンの飛行高度は精度に関係ありますか。
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[A] |
バルーンの高度が高くなると、フロントの形状を正しく解像できなくなる可能性があります。
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[Q] |
1回目の観測で得られたフロントの画像とサーモカメラで得られた水温データとはどれくらい一致しているのですか。1回目の観測では波長が6m程度の波を観測でき、2回目の観測では波長が20m程度の波が観測されていましたが、これは観測海域の地形による影響ですか。
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[A] |
1回目の観測で得られた水温分布とゴミの集積位置は概ね一致していました。また、2回目の観測でも数mの波長を有する波動が検出されていました。そのため、地域差のようなものは無いと考えています。
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[Q] |
方位角を測定できた場合、GPSブイを使う必要はなくなりますか。
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[A] |
方位角が計測できれば、GPSブイは必要なくなると考えられます。
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[Q] |
バルーンの形が球ではない理由。
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[A] |
風に対する抵抗を小さくして、バルーンの揺れを小さくするために流線型になっています。
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[Q] |
なぜ観測を瀬戸内海と玄界灘の2点で行ったのか。
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[A] |
これまでの研究は技術開発という位置づけの研究なので、観測場所に制限はなく、アクセスの良い海域で観測を実施しました。
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[Q] |
3枚の写真を合成する方法はなんですか。
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[A] |
射影変換という画像変換です。各ピクセルを任意の緯度経度を原点とする距離の直交デカルト座標系に再配列することで変換ができます。
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[Q] |
海洋前線とは何ですか。また、海洋前線を検出することで何に活用できますか。
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[A] |
海洋前線とは異なる水塊特性を有する海水が接する場所で「フロント」と同義です。海洋前線を検出することで、沿岸域における生物生産や海水交換の研究に役立つと考えています。
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[Q] |
海上で撮影する際、バルーンはどの程度の風を受けますか。
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[A] |
10m/sの風速でも観測が可能でした。しかし、風が強いとバルーンの揺れが大きくなるため、撮影対象をうまく撮影できなくなります。
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[Q] |
バルーンの先端などカメラとできるだけ遠い場所にGPSを取り付けて、カメラにあるGPSと新たにつけたGPSで方位が分かるのではないでしょうか。波による高さの影響はないのか。 |
[A] |
バルーンの先端同士にGPSを貼りつけて方位を測ろうと考えましたが、GPSの誤差が数m含まれるため、10m程度しか離れていない2点で計測するには誤差が大きいと思われます。風が穏やかな日を選んで観測しているため、波はほとんどありません。そのため、波の高さがGPSに影響を与えることは無いと考えられます。
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[Q] |
フロントにゴミが集積するメカニズムを教えてください。 |
[A] |
フロントでは常に沈降流が形成されており、それに伴って海表面の海水がフロントに向かって収束しています。その収束流に浮遊物が集められて筋状に集積しています。 |
[Q] |
観測の時間、ブイの回収手段を教えてください。 |
[A] |
空撮の時間は約10分間です。ブイは撮影が終わった後に目視で探して回収しています。
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